小説の書き方【暗黙の了解すぎて誰も教えてくれなかった】超基本
小説を書きたい! よーし書くぞ、あれ? 小説ってどうやって書くんだっけ? あんなにたくさん読んできたのに・・・・・・。
こんな状態になること、ありますよね。小説を読むのと、書くのでは全く違うのです。あなただけではありませんのでご安心を。
今回は、これから小説を書こうという方に向けて、誰も教えてくれなかった小説の書き方の超基本を解説します。
この記事の目次
「小説の書き方」ってそもそもどういうこと?
「小説の書き方」と一言で言っても、いろいろな側面があります。
話はどうやって考えるのか、文体ってなに? 登場人物はどうやって考えるの? 一人称、三人称って? プロット? 起承転結? わからないことがたくさんありすぎて、一体何から手を付けたらいいのかわからなくなってしまいますね。
ネット上にも情報があふれており、どれが正解なのかわからず、初めて書こうというのならば、なおさら混乱してしまうと思います。いったい小説の書き方って何なの?私は何を知ればいいの?
問題はシンプルに2つに集約される
このようなときは問題をシンプルにしてみましょう。
「書き方」の問題は大きく2つに分けることができます。
1、登場人物や、内容をふくめた「物語をどうやって作るか」
2、それを、どんな技法で表現していくかという「どういう技術でつくるか」
あなたが分からない、知りたいのはどちらでしょうか? 自信がなければ両方を見ておいたほうがいいでしょうね。どちらか片方ですと、文章は文句なくうまいのに話が面白くない、とか、逆に話は抜群に面白いのに文章が稚拙といった事態に陥ってしまいます。そんな悲しいことにならないように両方をチェックしましょう。順番に説明していきますので、徐々に理解していきましょう。
話の作り方
お話とは何でしょうか。そこから始めてみましょう。
お話といっても色々ありますので、ここでは、エンターテイメントの話の作り方に絞ってゆきましょう。
1、物語の2つのパターン
物語とは、「主人公か、その他の登場人物の考え方が変わる、その過程を表したもの」です。
物語が始まる段階では、主人公の考え方が人助けなんでばかばかしいと思っているとします。それが、物語が終わるころには、人助けも悪くない、もしくは人助けは最高だと思うようになる、その過程を表現したのが物語なのです。過去に読んだり見たりして面白いと思ったお話を思い浮かべてください。十中八九は心の変化が表現されています。時々表現されていないものもありますが、それはどこか物足りないか、それ以外の要素が異常に面白いかのどちらかでしょう。
そして物語は2つのパターンに分けることができます。
主人公が変化する「成長物語」と、主人公が後押しして、他の登場人物を変化させる「英雄物語」です。世の中にはたくさんの物語がありますが、基本的にはこのどちらかに分類されます。※これらの用語は私が勝手に設定したものです。
考え方の変化がでうまく作れれば、その物語の面白さは一定の水準を超えます。天才的なひらめきやアイデアが例えなかったとしても、面白くできるのです。
考え方の変化について、もっと詳しく知りたいときはこちらも参考に。
2、変化させる要素
考え方の変化を出発点に、物語を逆算してゆくと、その他の必要な要素が浮かび上がってきます。
人の考え方というものは何もせずに変化するものではありません。何かのきっかけがあって変化するのです。それが、話の中心になる「事件」です。事件といっても殺人事件のようなものに限りません。出来事や、イベントといったほうが分かりやすいかもしれません。敵が現れるとか、何か解決すべき問題が起こるのです。何も起きない物語はありませんので、事件が起こるほうが物語のイメージに近いかもしれません。
事件があり、考え方が変化する、これが話の骨子です。
考え方の変化についてもっと詳しく知りたい場合はこちらも参考にしてください。
3、話を作る手順
まずは、ストーリーのパターンを選びます。強い主人公が活躍する英雄物語なのか、主人公が成長する成長物語なのかです。それから、考え方の変化を考えます。変わる人は誰で、どのように思っていて、どう変わるのか。そして、事件を考えてください。最低限、これだけを意識すれば、話の骨格ができてきます。
もっと詳しく知りたい場合は、こちらのサイトを見てみてください。こちらは私が運営している漫画の話の作り方のサイトです。メインは漫画ですが、小説でも同じことです。あなたがラノベを書こうとしているのでしたら、漫画は近いジャンルですね。漫画の物語の作り方がベースになっていますが、小説の物語の作り方となんら変わりません。
そもそも小説も映画も漫画も、物語を語るという点では同じもので、表現の仕方が違うだけなのです。ぜひ参考にしてください。
■ストーリー漫画の作り方・コツ 6つの法則
そのほか、当サイトにも話づくりに役立つ記事がたくさんあります。参考にしてみてください。
書き方の技術
話の作り方が理解できたら、今度は書く技術です。
まず大前提として、小説の文章について決まりはありません。意外に思うかもしれませんが、色々な小説をよく見てください。一つとして同じ文体の者はありません。
どんな文章で書いてもよく、だからこそ作家の個性が出るのです。
ただし、作者が意図したとおりに内容が伝わるのが前提です。どんなに良い内容でも、伝わらなければ意味がありません。
読者に自分の意図したとおりに伝えるためには、ある程度の技術が必要です。この技術について説明していきましょう。
1、視点を決める
まず一番最初に決めなければならないのが「視点」です。いきなり聞きなれない用語が登場し、しかも最初に決めなければならないといわれると、戸惑ってしまいますね。でもそれほど難しい話ではありませんから安心してください。
まずこちらを見てみてください。両方とも小説として、正しい文章です。(例としてわかりやすくするために、上手かどうかは別にしています。)
①私は昨日、遠足に行きました。楽しかったです。
②アカネは昨日、遠足に行きました。楽しかった、と思いました。
②のほうが小説っぽいと感じるのではないでしょか。でもどちらも小説の文章です。この2つの違いは視点の違いによるものです。
①は主人公が見たり体験したりしたことを、主人公の視点を通して表現しています。日記や作文のように見えますね。これが1つ目の視点一人称視点です。
②は客観的な視点から表現しています。ナレーターがいて、読者に向かって話しているような感覚です。これが三人称視点です。
視点には基本的にはこの2つしかありません。それぞれ特徴がありますので、自分の表現したい内容にはどちらが向ているのかを考えて、選んでみましょう。
●一人称視点の特徴
一人称は主人公の心理を書くのに向いています。主人公が思ったことを細かく書いていけます。
逆に、主人公がいない場面を表現するのは苦手です。主人公の見たり聞いたりしたものを表現していくからです。極端な例でいうと、主人公が気絶した時は、その間、話は進められません。主人公が目が覚めたところからスタートし、後でこんなことがあったと聞くしかないのです。
また、客観的な表現が苦手です。一人称視点で「恐ろしい洋館」と書いたとき、それは主人公にとって恐ろしいのであって、客観的に恐ろしいかどうかはわかりません。
●三人称視点の特徴
三人称視点では、一人称のように誰かの視点を通さないので、客観的なナレーターが話しているような形式です。なので、複数の登場人物の表現をするのが得意です。また、客観的な事実を表現するのに向いています。三人称視点で「恐ろしい洋館」と書けば、それは誰が見ても恐ろしい洋館だということになります。
この2つの視点は、最初から最後まで固定する必要はなく、章が異なるなど文章が明らかに区切られていれば、途中で変えることもできます。例えば犯人の犯行は三人称視点、探偵である主人公の場面は一人称視点で書くということも可能です。
視点について、もっと詳しく知りたい人は、こちらに詳しく書いていますので参考にしてください。
2、文章をわかりやすくする
小説の文章の形式は自由なのですが、読者に意図通りに伝えるためには、わかりやすい文章を書くということも重要です。たとえば「恐ろしくて、美しい人食い花」を表現しようとして時に、「恐ろしく美しい花」と書いてしまっては全く意味が異なってしまいます。
どうすれば伝わるかと言いますと、まずは正しい文章で書くことです。正しい文章とは、文法的に正しい文章です。
文法なんて久しぶりに聞いたと思いますが、ここで紹介するものは、それほど難しいものではありませんので、見ていきましょう。
●主語と述語をきっちり対応させる
「主語」と「述語」は文法の基礎です。説明するまでもありませんが、主語は「誰が」「何が」を指す言葉で、文章の主体となる言葉です。述語は「何だ」「何をした」に当たる部分です。
私は寝た。
「私は」が主語で「寝た」が述語ですね。
そんなの誰でもわかるよ! と感じるでしょう。でも文章が複雑になると、主語と述語が対応しなくなることがあるのです。
ピーマンはビタミン豊富で、シャキッとした食感がおいしい野菜だが、独特の苦みと青い香りが嫌いだというのだ。
いかがでしょうか。違和感を感じていたら正解、この文章は間違いです。この文章には主語と述語2つあります。1つは、「主語:ピーマンは」「述語:野菜だ」です。2つ目が問題で、2つ目の述語「述語:嫌いだというのだ」に対応する主語がありません。このままでは「主語:ピーマンは」が主語になってしまいます。「ピーマンは嫌いだというのだ」では意味が通じませんね。
実はこの文章では2つ目の主語が省略されているので、ややこしいことになっています。
省略されている主語は「主語:子どもは」です。
ピーマンはビタミン豊富で、シャキッとした食感がおいしい野菜だが、独特の苦みと青い香りが嫌いだと、子どもはいうのだ。
主語の省略自体は悪いことではありません。日本語は主語を省略してもいいのです。しかし、文章の意味がおかしくならない範囲で行わなければなりません。
文章の意味が通じるかよく考え、主語と述語が対応しているか、よく考えて書きましょう。
主語述語について、もっと詳しく知りたい場合はこちらを参考にしてください。
●修飾語と句読点を意識する
次は修飾語です。修飾語とは、他の語を「説明する部分」です。先ほどの「恐ろしくて、美しい人食い花」の例をみてみましょう。
恐ろしく美しい花
「恐ろしく」と「美しい」が「花」を説明している修飾語です。(文法の言葉で言うと「修飾している」と言います。)
この修飾語ですが、上手に使わないと誤解を招きます。下記の2つの文は全く意味が異なってしまいます。
恐ろしく美しい花
美しく恐ろしい花
誤解を生まないポイントは、メインの修飾語を、修飾される語に近づけることです。
この人食い花の例の場合、美しいよりも「恐ろしい花」を表現したいのですから、「恐ろしい」と「花」をまずは近づけることです。
このくらいの長さならば誰でも理解できると思いますが、少し長くなると、どうなるでしょうか。
兄が気に入っている背が高く古めかしい燭台が乗ったテーブルの上
兄が気に入っているのは、テーブルでしょうか、燭台でしょうか?
背が高くて古めかしいのは燭台でしょうか、テーブルでしょうか?
あいまいですね。さらにわかりやすくするためには句読点を打つのも手です。
兄が気に入っている、古めかしい燭台が乗った、背が高いテーブルの上
文章を区切ってしまうのも手でしょう。
兄が気に入っている、古めかしい燭台。それが乗った背が高いテーブルの上
このように、修飾語の位置や、句読点によってわかりやすく表現することができます。文章を書いたら、意味がちゃんと伝わるか上記のポイントを踏まえて見直してみましょう。
句読点や、修飾語についてもっと詳しく知りたい場合は、こちらも見てみてくださいね。
まとめ
物語の作り方も、文章技術も、最初から才能がある人にとっては、当たり前のように感覚で理解されている暗黙知のようなものです。いろいろは作品を読んだり見たりして、無意識のうちに得られたものです。
でも、最初からできなくても、こうして学べば誰でも小説を書けるようになります。内容と、書き方を考えて、良い作品を作ってくださいね。
文中で紹介したトピックスをここにも置いておきます。ぜひ小説に役立ててください。