小学生レベルの文法で文章力を向上させるコツ10【保存版】
文章を書くと自分の文章力のなさに落ち込むことがありませんか? 最近では、パソコンやスマートフォンが普及し、文章を書く機会が昔よりずっと増えたように思います。メール、ブログ、議事録、レポート、場面も用途も様々ですが、文章を書けば自ずと自分の文章力の問題に直面することになるのです。
さらに、小説を書こう! などと思っている方にとって問題はもっと深刻。文章で人を楽しませようというのですから、当然、普通の人よりもっと高い文章力が必要になります。
いったいどうしたら文章力が向上するのでしょうか。
ヒントは、小学生の時に習った文法にあります。文法、というと身構えてしまうかもしれませんが、それほど難しい内容ではありません。
文章を正しい文法で書けば、読みやすく、意味も通じやすくなります。
それが必ずしも名文になるかと問われれば、必ずしもそうとは言い切れませんが、少なくとも伝えたい内容を伝えることができます。
早速見ていきましょう。
この記事の目次
1、主語と述語は対応していないとダメ!
主語と述語、小学校の文法で一番最初に習う項目です。この用語自体がわからない人はあまりいないと思いますが、念のため説明しておきますと、主語は「誰が」「何が」を指す言葉で、文章の主体となる言葉です。述語は「何だ」「何をした」に当たる部分です。
主語と述語という考え方自体は難しくもなんともないのですが、実際に文章を書くときには気を付けなければいけないことがあります。
それは、主語と述語を対応させることです。
実際に例を見てみましょう。まずは正しい文章から。
目的は、天津飯を食べることだ。
主語は「目的は」、述語は「ことだ」です。しかし下記はNGです。
目的は、天津飯を食べます。
述語は「食べます」です。主語は同じく「目的は」ですが、「目的」は「人間」ではないので食べません。なので、食べますという術語は主語に対応していないということになります。もう一つ見てみましょう。
私の趣味は、散歩です。
私の趣味は、散歩します。
どちらが間違っているか、もうわかりますね。下の文が間違っています。このように、間違った組み合わせを使った文のことを「ねじれ文」と呼んだりするそうです。ねじれ文にならないように気を付けましょう。
以上のような例文はとても簡単なので、正しいか間違っているかすぐにわかりますが、文章が複雑になると、正しいかどうかの判断がつかなくなってきます。この文章はどうでしょうか。
トンネルを越えると一面に広がった銀世界は、面倒な世間から解放されたように感じた。
上の文章は間違いです。何だかもやもやしませんか?
主語は「銀世界は」で、述語は「感じた」ですが、「銀世界が感じた」はおかしいですね。(このように文章を削っていって主語と述語だけにすると正しいか間違っているかわかります。)「感じる」のは「人間」ですから「私は」という主語が必要です。ということで、下記のように修正します。
①「私は」を入れます。②「私は」を入れると、「銀世界は」に対応する述語がなくなってしまうので、文書を2つに分けて③「広がった」を述語にし④文章の流れを考えて「は」を「が」にします。すると、このような文章になります。
トンネルを越えると銀世界が一面に広がった。私は面倒な世間から解放されたように感じた。
このように、主語と述語を対応させることで、正しく、伝わりやすくなります。
2、主語は省略していい
日本語の主語は省略が可能です。むしろ、省略しないで全部の述語に主語があると非常にしつこい文になります。
私は箱根の宿に向かった。私は新宿から電車に乗り、私は行ったのだ。箱根湯本に私が着くと・・・・・・
なので、主語は適度に省略します。
私は箱根の宿に向かった。新宿から電車に乗り、行ったのだ。箱に湯本につくと・・・・・・
主語を省略していいのは、述語に対応する主語が明確な時だけです。上の文では主語は常に「私」なので省略しているのです。主語の省略自体は難しくはありませんが、文章が複雑になるとどうでしょうか。
新宿駅は日本で最も乗降客数が多いターミナル駅で、乗り入れ本数も多いその巨大な構内で迷ってしまうだろう。
一見間違っていないように見えますが、実は間違っています。この文章の主語は「新宿駅は」ですね。述語は「ターミナル駅で」と「迷ってしまう」です。「新宿は、ターミナル駅で」は成立しますが、「新宿駅は、迷ってしまう」は対応していませんので、ねじれ文になってしまっています。原因は「迷ってしまう」の主語を省略しているからです。正しくはこうなります。
新宿駅は日本で最も乗降客数が多いターミナル駅で、乗り入れ本数も多いその巨大な構内ではじめて訪れた人は迷ってしまうだろう。
これで正しい文章になりました。間違った例よりも意味がすっきり通るようになったように感じないでしょうか。間違った文章というのは、単に文法が間違っているというだけでなく、意味が通じにくくなってしまうのです。
主語の省略、してダメな時
間違った文章として紹介した新宿駅の文章ですが、ある条件を満たすと、正しい文章になります。一体どういうこと?!
間違い文章の前に、一文入れてみましょう。
君がはじめて新宿駅に行くのならば気を付けたほうがいい。
新宿駅は日本で最も乗降客数が多いターミナル駅で、乗り入れ本数も多いその巨大な構内で迷ってしまうだろう。
すると、意味の通る正しい文章になりました。「迷ってしまう」のは「君」だとわかるからです。
日本語は主語を省略することがよくある言語です。省略していいのは主語が誰なのか、何なのかがわかりきっているときです。このことに気を付けて、主語を省略しましょう。
3、修飾語を意識する
修飾語とは、文章や単語を説明する言葉です。
美しい花
といった時の「美しい」が修飾語です。簡単ですね。
上記のように修飾語が一つ、修飾される語(被修飾語といいますが、名前はそれほど重要ではありません。)が一つの場合はよいのですが、一つの被修飾語に対し、修飾語が2つ以上になるとこのようになります。
美しく恐ろしい花
どんな花なのか気になるとことですが、おそらく人を食べてしまう植物かなんかかもしれません。
不思議なことに、この「恐ろしい」の位置を変えると意味がまったく変わってしまいます。
恐ろしく美しい花
この花はとてつもなく美しい花ということで、人を食べたりはしなそうです。この2つの花の例は、どちらも文法的には正しい文章です。しかし、位置によって全く意味が変わってしまうのです。
何を伝えたいのか、どの語をどう説明したいのかを明確にして修飾語の位置を考えましょう。
最も重要な修飾語と被修飾語を近づける、というのが簡単な方法です。
「美しい花」を表現したいなら、「美しい」と「花」を最も近くする、「恐ろしい花」を表現したいなら、「恐ろしい」と「花」を最も近くすることです。まずはこのポイントを押さえておけばよいでしょう。
4、文章を長くしすぎてもダメ、短くしすぎてもダメ
文章は、切らなければ無限に長くすることができます。ここで切らなければいけないという文法上のルールはありません。しかし、長すぎる文章は主語述語の対応もわかりづらくなり、読みにくいものです。いったいどこで切るのが適切なのでしょうか。まずは長い文章を見てみましょう。
昨日母がスーパーで買ってきた不思議な色のクッキーを食べた兄は次の日丸々と太り、あまりに太ってしまったため、学校にも行けなくなってしまい、それから早2週間、近所の人にこのことが知れ渡り、そのうちTV局の取材も来てしまってスーパーを訴えるとか、メーカーが悪いとかてんやわんやの騒動に発展し・・・
なんのこっちゃという文章ですが、このように、文章は続けようと思えばいくらでも続けることができます。今度は逆に短くしてみましょう。
昨日母がスーパーでクッキーを買ってきた。クッキーは不思議な色をしていた。それを食べた兄は、丸々と太った。あまりにも太ってしまった。学校へ行けなくなってしまった。それから早2週間。近所の人にこのことが知れ渡った。そのうちTV局の取材も来てしまった。スーパーを・・・・・・
短ければ短いで非常に読みにくいですね。
適切な長さは諸説ありますが、文字数などの長さそのものよりも、「2つくらいの事柄を1つの文章に入れる」を意識してみましょう。このポイントを意識して文をつなげてみましょう。
昨日母がスーパーで買ってきた不思議な色のクッキーを食べた兄は、次の日丸々と太った。
あまりに太ってしまったため、学校にも行けなくなってしまった。
それから早2週間、近所の人にこのことが知れ渡り、そのうちTV局の取材も来てしまった。スーパーを訴えるとか、メーカーが悪いとかてんやわんやの騒動に発展し・・・
かなりすっきりと読みやすくなりましたね。
なお、必ず2つの事柄を入れなくてはいけないわけではなく、時には1つ、時に3つの事柄を入れることも必要でしょう。
5、その接続詞、必要?
今度は接続詞です。接続詞とは「しかし」「そして」「また」など、文と文をつなぐ言葉です。前後の文章の関係性を明確にすることができて、とても便利です。しかし、この接続詞を連発しすぎると、非常にしつこい文章になります。
子どもがピーマンを嫌っている。おいしくないという。つまり、独特の苦みと青い香りが嫌いだというのだ。しかし、ピーマンの本分はその味にこそある。つまり、嫌われる筋合いは全くないのだ。
しつこいですね。今度は接続詞を減らして「しかし」だけを残してみましょう。
子どもがピーマンを嫌っている。おいしくないという。独特の苦みと青い香りが嫌いだというのだ。しかし、ピーマンの本分はその味にこそある。嫌われる筋合いは全くないのだ。
これでも充分意味が通じますし、テンポがよくなりましたね。文章を読むとき、人は文脈を理解しながら読みます。この話はピーマンの話だな→ピーマンが嫌いな子どもの話だな→作者はピーマンが好きなのだなという風に理解していきます。なので、接続詞でわざわざ文章の関係性を明確にしなくても理解はできるのです。接続詞は、特に前後の関係を強調したいときにだけ、使いましょう。
6、句読点に気を付ける
次は句読点です。句読点とは「、」や「。」ですね。「。」は分の終わりにつけるというルールがありますが「、」をつける位置にルールはなく、自由です。ですが、ここに打てばいいという一定の目安はあります。
①主語と述語が出てきたらいったん区切る
主語述語が1つの文章に複数入っている場合があります。(重文、複文といいます)この場合は、主語述語のセットが出てきたらいったん区切りましょう。まず例文をみてください。
兄が買ってきたピーマンを母はうれしそうに料理した
主語:兄が
述語:買ってきた
がピーマンを修飾(説明)していますね。
文章全体のメインの主語述語は
主語:母は
述語:料理した
です。
重文、複文になると、文章が長くなるので、主語述語が出たところで点を打ったほうがいいでしょう。
兄が買ってきたピーマンを、母はうれしそうに料理した
②間違った解釈を防ぐ
修飾語の位置と同じく、点の位置によって文章の意味が異なる場合があります。まず点を打っていない文を見てみましょう。
兄はうれしそうに料理をする母を見た
この文章では、「うれしそう」なのが兄なのか、母なのかわかりませんね。このような事態を避けるために、点を打ちます。
兄は、うれしそうに料理をする母を見た
もちろん、こちらでも成立します。
兄はうれしそうに、料理をする母を見た
伝えたい内容によって、位置を考えましょう。
③強調したい部分で区切る
点を打つと、リズムが一度途切れますので、目立ちます。音楽で曲が途中でストップし、また始まる部分を「ブレイク」といいますが、それと同じ効果です。
兄が買ってきたピーマンを、母は、うれしそうに料理した
「母は」や「うれしそう」が際立ったと思いませんか?
このように活用することができます。
④迷ったら文書を音読した時に切れる部分に打つ
長い文章は点を打ったほうが読みやすくなる時があります。長すぎる場合は、心の中で音読してみましょう。音読すると息継ぎがあるので、延々と文章を続けることはできず、自然と切れる部分ができてきます。この区切りは自然のリズムに則っているので、心地よいものです。そこに点を打つとよいでしょう。
この文章を
昨日母がスーパーで買ってきた不思議な色のクッキーを食べた兄は次の日丸々と太りあまりに太ってしまったため学校にも行けなくなってしまってそれから早2週間近所の人にこのことが知れ渡り・・・・・・
音読して区切ってみました。自然なリズムで区切れていると思います。
昨日、母がスーパーで買ってきた不思議な色のクッキーを食べた兄は、次の日、丸々と太り、あまりに太ってしまったため学校にも行けなくなってしまって、それから早2週間、近所の人にこのことが知れ渡り・・・・・・
7、語尾をバラエティ豊かに
まず大前提として、ですます調なのか、だ・である調なのかを選択します。両方が混ざっていると、まとまりのない文章に見えてしまいます。その上で、色々な語尾を使うようにし、少なくとも、同じ語尾が繰り返さないようにすると文章はだいぶ格好がついてきます。
ためしに同じ語尾を繰り返してみましょう。かなり稚拙な印象を受けると思います。
子どもがピーマンを嫌っています。おいしくないといいます。独特の苦みと青い香りが嫌いだといいます。しかしピーマンの本領はその味にこそあります。嫌われる筋合いは全くありません。
これを避けるために、同じ語尾が連続しないようにするのです。語尾を変えるだけでも単調さがなくなり、かなり印象が変わります。
子どもがピーマンを嫌っています。おいしくないというのです。独特の苦みと青い香りが嫌いだと。しかしピーマンの本領はその味にこそあります。嫌われる筋合いは全くないのです。
リズムを出すには体言止めも便利です。体言止めとは、名詞で文章が終わることです。
子どもが嫌いな野菜の代表はピーマン。
普通ならば「子どもが嫌いな野菜の代表はピーマンです。」とするところです。
この文章単体だと、体言止めは中途半端な感じがしますが、複数の文章の中にあると映えてきます。
子どもが嫌いな野菜の代表はピーマン。独特の苦みと青い香りが嫌いだというのです。でも、ピーマンの本領はその味にこそあります。
にこのような体言止めも交えながら、いろいろな語尾を使うようにしましょう。
7、表記を統一する
表記を統一するとは、文章の書き方のルールを統一することです。例をみてみましょう。
ピーマンを大量に頂いた。ゴーヤも大量にいただいた。そしてモロヘイヤもたいりょうに頂いた。
「頂いた」と書くときに、「頂く」「いただく」とひらがなと漢字が混在しています。「大量」も「たいりょう」と混在しています。ひらがなを選ぶか漢字を選ぶかはどちらでもいいのですが、統一したほうが正しい文章に見えます。(もちろん何かの効果を狙って書くのでしたら問題ありません。)
ピーマンを大量に頂いた。ゴーヤも大量に頂いた。そしてモロヘイヤも大量に頂いた。
細かいことですが、これができると格段に上手に見えるようになります。表記のルールで気を付ける部分はいくつかありますので下記にて紹介ます。
①漢字かひらがなか統一
どの漢字を漢字のまま書いて、どれをひらがなで表記するかを決めます。例えば、下記のようにルールを決めておきます。
行う おこなう または する
出来る できる
易く やすく
達 たち
等 など
為 ため
時 とき
事 こと
凄い すごい
〜して下さい 〜してください
〜して頂く 〜していただく
様々 さまざま
色々 いろいろ
無い ない
有る ある
予め あらかじめ
致します いたします
敢えて あえて
②カギカッコの扱いを統一する
カギカッコや、丸や点の使い方を統一します。例えば下記のように統一します。
固有名詞を表すときは『』、セリフの時は「」を使う。
「JP東京駅」ではなく『JR東京駅』。
③強調するとき
強調をする際は、“”
(例)バナナは“おやつに入り”ます。
④三点リーダー
「…」のことを三点リーダーと呼びます。「…」は2回繰り返して使います。
こいつは……!
といったように表記します。
8、あまり誰も教えてくれない表記の決まり
表記の統一に関連して、プロならばほぼ必ず実施している表記方法もあります。これを実行することで、より上手な文章に見えるでしょう。
⑤カッコの中の最後の句点は書かない。
カギカッコ・カッコの中の最後の句点は書きません。
「〜です。」は「〜です」と表記します。
(~です。)は(~です)と表記します。
文章の最後にカッコを入れる場合は、丸は一番後ろに句点を入れる。
ラーメンは美味しい(誰でもそう思うでしょう)。
「〜()」のときは、カギカッコにもカッコにも入れないでよいでしょう。
「~だ(~ということだ)」
⑥ビックリマーク、はてなマークの後は全角開ける
こいつは!あの時俺たちを裏切ったんだ!
ではなく
こいつは! あの時俺たちを裏切ったんだ!
文章がきれいに見えます。
9、同じ意味の言葉を繰り返さない
こちらの文章を見てみてください。
ご飯の炊き方は、お米を研いで炊飯器に入れ、スイッチを押すのが炊き方です。
間違っている部分はわかりますか? 炊き方が主語にあるのに、述語でも「炊き方です。」と書いてしまっています。間違いではありませんが、しつこいです。「頭痛が痛い」のような感じに見えます。同じ意味、役割を持った言葉を繰り返さないようにしましょう。
10、そもそも何を伝えたいのか明確にする
①前提条件を考える
良い文章というのは、まず内容を分かりやすく整理することと、相手のレベル、知識に合わせることが重要です。
例えば、小学生と学者では前提となる知識が異なります。誰に伝えるのか明確にすると、どのような知識を相手が持ち、どのような単語を選び、文体はどうしたらよいのかがわかります。なので、誰に対しての文章なのかを意識することが重要なのです。
東の空に銀色に光るUFOが飛んでいた
という内容を伝えたいとします。大人ならば上記文章でよでしょう。これを小学生の子どもに伝えるときは下記のようになるでしょう。
そらにUFOがとんでいた!
こんな表記が必要な場合もあるかもしれません。
靖国方面の空に銀色に発行する不明飛翔体を確認した。
太陽が生まれる方角に、白く鋭く光るかたまりが、ゆったりと浮かんでいた。
東の空にぎんいろの、よくわかんないものが浮いてた。
誰に向かって書いているのかを考えると、自ずと前提の条件が定まってきます。そのうえで文章を書くと、よりよいものになるでしょう。
②何を伝えたいのかを明確にする
正しい文法で書けば良い文章になるかというと、そうではありません。意外と見落としやすいのはそもそも、何を伝えたいのかを明確にすることなのです。文章の体裁に気を取られすぎると、何を伝えたかったのか自分でもわからなくなってしまうことがあります。まずは今から何を伝えようとしているのか、その一文は全体の文章の中で何の目的があるのかを明確にしましょう。それがよい文章につながります。
その他役立ちそうな情報
最後に、文章を書く上で役立ちそうな情報を置いておきますね。文法をマスターしたら、ぜひ見てみてください。
まとめ
文章力とは、文章でわかりやすく人に伝える力です。「わかりやすく」の中には、内容をわかりやすくすることと、表現をわかりやすくすることの2つが含まれています。テクニックと内容の両方を整理して、文章力を向上させましょうね。