【調査】ここ20年で週刊少年マガジンがすっかり軟弱化していた件
日本は漫画大国です。雑誌や単行本だけでなく、WEBも古本もあり、新しい作品も、過去の作品も手軽に読むことができます。これだけ安価で多種多様な漫画が読める国は日本以外にないでしょう! ほかの国知らないけど!
私たちを楽しませてくれる漫画、これからはどうか知りませんが、これまで漫画の地位を高め、多くの人を楽しませてくれた原動力は何といっても少年週刊誌。中でも少年ジャンプ、少年マガジン、少年サンデーの3誌が・・・・・・おっと、少年チャンピオンも入れてあげましょう!(かつては少年誌No.1だったのですから。)この4誌がけん引してきたことについては、誰も異論がないはず。
しかしレジェンド4誌といえども、WEBシフトなのか漫画離れなのか、雑誌の発行部数はなかなか厳しいものがあります。
2016年には少年マガジンが100万部を割ったということでニュースになっていました。
そんななか、たまたま最近の少年マガジンを手にする機会があり、連載をチェックしたところ、衝撃を受けました。マガジン編集部の戦略が見えてきたというか世の中の動きが見えてきたというか、とにかく気づいたのです。マガジンが(というか日本が?)軟弱化している・・・・・・・と!
実際に調べてみたところ・・・・・・!
この記事の目次
10年前、20年前のマガジン連載作品を調べてみた
前もってお伝えしておきますと、私は少年漫画を現役で読んでいたのは10年以上20年未満前です。私の記憶の中のマガジンといえば、GTOとか、サイコメトラーEIJIとか、ちょっと悪くて強い男の子が主役で、TVドラマやアニメにもなるヒット作品がたくさんあり、表紙にはかわいくてスタイルの良い女の子のグラビアがあり、つまりは「男らしい漫画雑誌」でした。ジャンプは卒業したぜ、文化部はサンデー読んどけ、男はマガジンだぜみたいな立ち位置でした。無論、文化部の私はマガジン派ではありませんでした。
まずはそんな少し古い、今から10年、20年前のマガジンを見てみましょう。
作品を、それぞれ私の独断と偏見で分類してみました。分類が苦しい作品もあります。「恋愛」と「美少女」、「ラブコメ」は何が違うのとか。ラブコメであり教師でもあるみたいな場合は主となる方に分類しております。異論はあると思います! でも重要なのはそこではないので許してください!
1998年のマガジン
まずは今から20年前のマガジンです。GTO! 金田一! 今でもリメイクされる人気作品はこんな昔からあったのです。
GTO・・・教師
はじめの一歩・・・スポーツ(ボクシング)
カメレオン・・・不良
Harlem Beat・・・スポーツ(バスケ)
脳みそプルン・・・ギャグ
Dreams・・・スポーツ(野球)
G-HARD・・・ファンタジー
ガチンコッ!・・・ギャグ
永遠の詩・・・不良
真・中華一番!・・・料理
コータローまかりとおる!・・・スポーツ(柔道)
へなちょこ大作戦Z・・・ギャグ
シュート!・・・スポーツ(サッカー)
勝負師伝説 哲也・・・ギャンブル
Let’sぬぷぬぷっ・・・ギャグ
サイコメトラーEIJI・・・サスペンス
DoctorK・・・医療
BOYS BE・・・2ndSeason・・・美少女
将太の寿司・・・料理
金田一少年の事件簿・・・サスペンス
人間凶器カツオ!・・・不良
1998年3月25日号より 順不同
21作品中スポーツが5作品の不良が3作品! 割合で言うとスポーツ24%、不良14%。GTOも不良に入れると不良率はもっと高くなります。
もっと昔は「ビーバップハイスクール」が全盛でしたから、もっと不良率が高かったと思います。スポーツが一番多いのも男っぽいですね! そうなのです、これがマガジン。肉食男子のバイブル。
2008年のマガジン
はじめの一歩はさっきもありましたが一体いつからやっているんでしょう。ブラッディマンデー、ドラマ化されてましたね。フェアリーテイルがマガジンで始まったときは結構衝撃でした。
弑逆契約者ファウスツ・・・ファンタジー
はじめの一歩・・・スポーツ(ボクシング)
ブラッディマンデイ・・・サスペンス
CODE BREAKER・・・ファンタジー
君のいる町・・・恋愛
ゴッドハンド輝・・・医療
FAIRY TAIL・・・ファンタジー
ダイヤのA・・・スポーツ(野球)
あひるの空・・・・スポーツ(バスケ)
魔法先生ネギま!・・・美少女
エア・ギア・・・ファンタジー
ツバサ・・・ファンタジー
新約「巨人の星」花形・・・スポーツ(野球)
エリアの騎士・・・スポーツ(サッカー)
ハンマーセッション・・・教師
ヤンキー君とメガネちゃん・・・ラブコメ
青春少年マガジン1978~1983・・・青春
スマッシュ・・・スポーツ(バドミントン)
賭博覇王伝 零・・・ギャンブル
ベイビーステップ・・・スポーツ(テニス)
さよなら絶望先生・・・ギャグ
生徒会役員共・・・ギャグ
ゼロセン 加瀬 あつし・・・教師
純情カレンな俺たちだ!!・・・スポーツ(バレーボール)
もう、しませんから・・・ギャグ
順不同 2008年11月12日号より
25作品中 スポーツが最も多く8作品で32%! そしてなんと不良がゼロ! ジャンプにバトルがないようなもの。
かつてマガジンの看板だった不良がスポーツにシフトした感じですね。力を持て余した若者はスポーツすべし! このころはもうわかりやすい不良は半ば絶滅してましたしね。それからファンタジーが20%とかなり大きな勢力になってきています。スポーツとファンタジー、運動部と文化部、真逆の要素が共存してたのです。
そして、100万分の大台を切ってしまった2016年を超え、現在はというと・・・・・・?
2017年年末のマガジン
DAYS・・・スポーツ(サッカー)
マコさんは死んでも自立しない・・・ラブコメ
五等分の花嫁・・・ラブコメ
炎炎ノ消防隊・・・ファンタジー
はじめの一歩・・・スポーツ(ボクシング)
徒然チルドレン・・・ラブコメ
七つの大罪・・・ファンタジー
ドメスティックな彼女・・・恋愛
あひるの空・・・スポーツ(バスケ)
川柳少女・・・ラブコメ
彼女、お借りします・・・ラブコメ
東京卍リベンジャーズ・・・サスペンス
ダイヤのA・・・スポーツ(野球)
ランウェイで笑って・・・文化系(ファッション)
青春相関図・・・サスペンス
8畳カーニバル・・・文化系(踊ってみた)
風夏・・・文化系(音楽)
星野、目をつぶって。・・・文化系(メイク)
不滅のあなたへ・・・ファンタジー
寄宿学校のジュリエット・・・ラブコメ
リアルアカウント・・・サスペンス
生徒会役員共・・・ギャグ
ワールドエンドクルセイダーズ・・・ファンタジー
杖ペチ魔法使い♀の冒険の書・・・ギャグ
血戦の九遠・・・ファンタジー
順不同 2017年12月13日号より
25作品中スポーツが4!実に32%から16%にまで低下しています。代わりに台頭してきたのがファンタジー5作品20%と、ラブコメ・美少女6作品、24%です。ファンタジーが多くなる流れは2008年から引き続きですが、ラブコメ・美少女は新しい流れ。完全にインドアで2次元嗜好的な感じになってきました! 草食系とでもいうのでしょうか。
それから新しく現れてきたのが「文化系」です。文科系ってなに? って話ですが(私が勝手に名づけました)音楽とかファッションなど、運動部じゃない部活に属する感じの題材です! マガジン読者はケンカしたり、外で汗をかいたり、女の子と付き合ったり、不良したりするんじゃないのかよ・・・・・・・!
すっかり世の男の子は軟弱化しまったわけです。
まとめると、こんなグラフになります。青が少なくなって黄色が多くなっている箇所を見ると興味深いです。
マガジンさんのせいじゃない・・・・・・
これはマガジンが変わったという風に見るよりは、世の中が変わったと見るべきでしょうね。不良はとうの昔に絶滅し、男らしい男も流行らなくなり、ジェンダーレス化が進んだ結果です。
マガジン編集部さんも、世の中の動きを何とか取り入れようと必死にやっている様子が伝わります。そもそも人口減で、男の子が減っているというのもある気がしますね。
ちなみにマガジン発行部数はこんな推移。
2008年 1,691,667 部(10-12月の間の1号あたりの平均)
2017年 883,804 部(7-9月の間の1号あたりの平均)
この間、なんと半分になってしまっています。競合誌はどうかというと「週刊少年ジャンプ」が約215万部、「週刊少年サンデー」は33万部。サンデー悲しすぎる。
雑誌が低迷する背景には、もちろん、かわりにWEBが元気になっているということはあります。
漫画が一般的に認められるようになったのは戦後ですから、もう70年もたつのでしょうか。長い時間の間に、漫画さんはおじいちゃんになってしまったようです。
でも、これからも漫画さんには元気でいてもらいたいですよね! 漫画を志す卵たちよ、新しい漫画をたくさん書いてくださいね!