起承転結はビジネスも使える!相手や場合によって使い分ける方法
起承転結をビジネスで活用するとどうなるか、という問題に関心がある方も多いと思います。
起承転結は文章構成の用語だと思われているから、ビジネス文章にも応用できると発想するのでしょう。
結論からいいますと、使える場面と使えない場面があります。
ひとくくりに使えない!と言ってしまっている人もいますが、そうではありません。使える場面もあります。それも効果的に。
それでは、どのような場面で使えばいいのか、あるいは使わないほうがいいのか、解説していきましょう。
この記事の目次
起承転結のおさらい
起承転結とは、文章やストーリーの構成の仕方を表したものです。基本形的には以下のように考えてください。
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起 物語の前提を説明し
承 事件が起こり
転 その事件を解決する
結 その結果を書く
起承転結には配分があります。4等分ではないことに注意してください。
色々なやり方がありますが、ストーリーを作るうえでは
起10%
承40%
転40%
結10%
といったところになります。4等分にすると、起が長すぎて読者が飽きてしまいます。もっと詳しく知りたい場合は、こちらをご覧ください。
ビジネスに置き換える
これをビジネスに置き換えると、以下のようになります。
起 市場の状況や時代の状況、会社の状況などの前提条件 10%
承 問題提起 40%
転 問題の解決方法の提示 40%
結 結論 10%
と言ったところでしょう。もちろん、提案書なのか、報告書なのか、様々なビジネス文章がありますから、多少事情は異なりますが、基本形はこれで、あとはここからのアレンジで済むのではないでしょうか。
ただ、個々のパーツとしてはこれで良いとしても、起承転結の順番のまま使えるか使えないかが問題になります。
読み手は知識があり、時間の制約がある
ビジネス文章を読んでもらう相手について考えてみましょう。
ビジネスの資料や文章は、上司や取引先、部下、同僚など、読む相手が決まっています。そしてこの相手は、大抵、程度の差はありますが、これから伝えたい内容についての知識を持っています。
例えば、車業界で働いていれば、部品メーカーであれ、完成車メーカーであれ、販社であれ車業界の基本的なことは共通認識として持っております。「今若者が車離れが進んでいて、若者向けの車が売れなくなっている・・・」といったことは知っているわけです。その業界にいてある程度年数も働き、実力がある役職の高い人になればなるほど、深い知識を持っております。
この部分が通常のストーリーにおける起承転結とは大きく異なります。
起承転結とはストーリーの手法ですから、全く何も知らない相手に対して使う手法なのです。
ストーリーを最初に見る・読むとき、基礎となる知識は読者ごとに違います。なので、作者は順番にこの世界は現代なのか、過去なのか、架空の世界なのか、価値観、人物像、設定など、作者は事細かに順を追って説明していく必要があります。
ビジネスは程度の差こそあれ、共通認識がある中での説明をすることになります。この部分が決定的に異なります。
また、ビジネスの相手は時間の制約があります。もちろん、ストーリーだって時間を割いて楽しむといった意味では制約がありますが、基本的には読者はストーリーが進んでいくのを時間の経過ごと楽しみます。ビジネスでは究極に言えば、内容が「伝われば」それに費やす時間は短ければ短い方がいいのです。テレパシーのように一瞬で内容が伝われば、もちろん不可能ですが、理想です。一方でストーリーがそんなことになったらつまらないですね。
ビジネスに最適な展開
では、ここまで見てきた起承転結をビジネスの順番に変えてみましょう。
誰に対しても万能な構成があるわけではありません。
ビジネスの際は読み手のレベルを考えることが最も大切です。
レベルによって必要な展開が異なってきますので、見ていきましょう。
レベルの高い相手に対して
レベルの高い相手に対する構成はこちらになります。
1、結
2、転(結の説明)
特に社内文章の場合や、相手とのコミュニケーションが充分にとれている場合にこの順が効果的です。
レベルの高い相手に対してはこれだけで充分で、前置きを長くすると逆効果になります。
「わかっている」相手にパワーポイントで何十ページにも及ぶ長大な提案資料を作っていませんか?
レベルの高い人は総じて忙しく、時間がありません。無駄に時間を消費されることをひどく嫌います。わかりきっていることを説明されることほど無駄なことはありません。
ですから、相手の知識の中ですでにあるものは無くすと、自ずと結論が先になるのです。
TOYOTAやソフトバンクなどの巨大企業では、用紙1枚でまとめているという話をよく聞きますが、個々のレベルが高い人に対してはこれでよいでしょう。
後は多少説明を加えるだけです。
例を見てみましょう。
【設定】車メーカーの広告部の中で、新しい車のプロモーションを部員全体からアイデアを募ることになり、広告部の社員が、実力ある部長に提案する場面。
間違った例を見てみてください。
起、今の時代は若者が車に乗りたがりません。無駄が多いと思っているからです。
承、だから、若者向けの車の売り上げがどんどん下がっています。
転、車が無駄ではなく、こんなに楽しいんだということを、体験してもらう必要があります。
結、ですから、運転手付き1日カーレンタルイベントを実施しましょう。
一見問題がないように思えます。
しかし、部長からすると、起・承は知っているので、その部分を長々と聞かされるのは苦痛です。ここに時間が割かれていたら、その先を聞いてもらえなくなる可能性だってあります。このような話し方をする人に言うことは聞く必要はないと思われるかもしれません。
正解はこちらです。
結、運転手付き一日カーレンタルイベントを実施しましょう
結の説明、車の楽しさを体験として知ってもらうことが大事です。
簡潔すぎて不安に思うかもしれません。しかし、日ごろから「若者が車を無駄なものだと思っていることをどうにか解決したい」と思っている部長には一瞬で理解できるのです。無限にやり方があるプロモーションの中で、あなたが市場の問題を正確に理解し、そのうえでこのようなアイデアを持ってきたことを評価するでしょう。
レベルが低い相手
逆にレベルが低い相手に対しては、上の例で起承転結に近い方が好ましい場合も多いです。というのは聞き手が理解している部分が少ないので、前提条件から説明していく必要があるからです。
例を見てみましょう。
【設定】車メーカーの広告部の中で、新しい車のプロモーションを部員全体からアイデアを募ることになり、広告部の社員が、あまり実力がなく、年功序列で出世した部長に提案する場面です。
間違った例
結、運転手付き一日カーレンタルイベントを実施しましょう
結の説明、車の楽しさを体験として知ってもらうことが大事です。
これは先ほどOKだった例ですがなぜダメなのでしょうか。この場合の部長は、日ごろから若者向けの車が売れないことは知っていましたが、原因まで考えてはいません。なので、イベントの意図がわからないのです。きっと荒さがしのような質問をあなたに向けてくることでしょう。それどころか、簡潔な資料に、手抜きをしているとさえ思ってしまう可能性があります。
この場合は、多少回りくどくても、前提条件から話す必要があるのです。
とはいえ、ビジネスですから、それでも結論から先に出す方が良いでしょう。いくら実力のない部長とはいえ、それなりに忙しいはずですから、時間を無駄にするのは逆効果です。結論を出して、それを説明していくという順番が正解です。
結、運転手付き1日カーレンタルイベントを実施しましょう。
起、今の時代は若者が車に乗りたがりません。無駄が多いと思っているからです。
承、だから、若者向けの車の売り上げがどんどん下がっています。
転、車が無駄ではなく、こんなに楽しいんだということを、体験してもらう必要があります。
エンターテイメント性を出す場合
社外の取引先などに提案する場合、エンターテイメント性が必要になる場合があります。例えば広告代理店がクライアントに提案する場面などがこれにあたります。
提案相手に楽しんでいただく、のめりこんでいただく、という意味ではストーリーの手法を活用できます。その結果、内容以上に良い提案だったという満足感を与えることができます。
前提条件の説明でさえ、よく業界や私たち(提案先)のことをわかっているという印象を残すことができます。満足感を与えることができれば、受注に大きく近づくことができます。コンペで同じような提案があった場合、満足感を与え印象に残ったほうが選ばれるでしょう。内容に差があった場合でさえ、満足感が高い方が選ばれる可能性があります。
社内提案でも、特に複数の部署の人に対しての提案など、前提となる知識が異なる人に対するプレゼンでは、上記のような手法をとれば、聞き手の満足度を上げることが可能です。
例でみるとこのようになります。
起、今の時代は若者が車に乗りたがりません。無駄が多いと思っているからです。
承、だから、若者向けの車の売り上げがどんどん下がっています。
転、車が無駄ではなく、こんなに楽しいんだということを、体験してもらう必要があります。
結、運転手付き1日カーレンタルイベントを実施しましょう!
エンターテイメントですから、結は登場感を出して大げさにアピール売れば効果は上がるでしょう。(雰囲気を出すために!マークを足してみました。)
ストーリー作りの知識とビジネスの知識の関係
以上で起承転結をビジネスに使う方法についての解説は終わりですが、最後にストーリー作りの知識と、ビジネスの知識の関係について説明しておきたいと思います。
このサイトは「ストーリー作りが本題ですが、いまや作品作りにだけたけていても生き残れない時代が来ていす。出版社の力は弱くなり、WEBの力が高まっています。個人の力で多くの人に影響を与えられる環境ができてきています。色々なメディアがシェアを奪い合っています。ここでいうシェアとは、個人の時間です。例えば1日のうちに漫画に費やす時間は減っているでしょう。その代わり、スマホのゲームや、動画を見る時間が増えています。小説や、映画でも同じことです。多様化して分散してきているのです。
生き残っていくためにはマーケティングやビジネスの知識が必要になってきています。なぜなら、ビジネスの世界では長く激しい競争の歴史があり、毎日新しい商品が生まれ消えていくその中で、生き残っていくために磨かれたシェアを高めるノウハウがあるからです。
逆にマーケティングやビジネスの領域でもストーリーが必要になる場面がより増えています。日本では人口が減り、商品のコモディティ化が進んでいます。十分な機能は大抵の商品に備わっており、大抵は最も安いグレードの商品でも20年前のプレミアムクラスの機能を持っています。差別化は常に必要ですが、機能で差別化が不可能になったとき、ストーリーでの差別化が重要になってきます。ストーリーの差別化とはブランドの差別化に直結します。
ですから、ビジネスマンやマーケターがストーリーを学んで損はないし、逆の場合もあるのです。
ストーリー作りの視点から言えば、いつも意識しそうでしていない読者や視聴者をこの記事をきっかけに考えてみるのは無駄ではないと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。起承転結を上手く活用して、良い成果に結び付けましょう。
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