漫画に個性を出す方法 個性的なキャラ・絵・主人公がカギ…ではない!
漫画を描いていると、好きな作家や直近で面白かった誰かの作品の影響を受けて、無意識に似たようなものを描いてしまうことがあります。また、流行っている絵柄やトーンに誰しもが影響されてしまいます。
そうすると、どこかで見たような漫画が出来上がってしまい、「比べられてしまう」という事態に陥ります。比べられても自分の漫画の方が面白ければなにも問題ありませんが、後発は常に不利なものです。その結果、あの漫画っぽいという評価になってしまいます。
さて、こんな状況を脱するにはどうしたらよいのでしょうか?
この記事の目次
自分にしか描けない漫画を描く
答えは比べられない個性的な漫画を描くことです。個性的というと「アクが強い」「独特の」という若干ネガティブなイメージもあるかと思いますが、「自分だけの」「自分にしか描けない」という意味での「個性的」を目指すべきです。自分にしか描けない漫画を描けば、場競争相手がいないからです。ではどうやったら自分にしか描けない漫画が描けるのでしょうか。
他メディアの他の作品から吸収する
漫画ではない違うメディアの作品から吸収することをおすすめします。映画や、小説、ドラマ、自分が普段好まないものも手に取ってみてください。そこにヒントがあるはずです。漫画を描くのだからといって、漫画を参考にしてしまうと、どうしても影響されてしまいますし、アイデアが先鋭化してしまい広がりません。
例えば「かめはめ波」がかっこいいと感じ、何かエネルギー波が出る漫画を描こうと考えます。同じにするわけにはいかないので、握り拳からエネルギーが出ることにしようと考えます。それでも真似に見えてしまうので、さらに説得力を高めるべく「体の中に眠るマナの力が呼び起こされて・・・」などといった設定を付け加えて行きます。結果的になんとかかめはめ波とは違うものができますが、やはりどこか似ていますし、かめはめ波を超すことは永遠にできません。これがアイデアの先鋭化です。かめはめ波を考えるべきなのに、かめはめ波的なものができてしまう現象です。(漫画に限らず、メディアが年齢を重ねてゆくと、先鋭化してどんどん先細ってゆくのです。)ということで他のメディアから吸収しましょう。
リアルな体験から情報を得る
他のメディアから情報得ると考えた場合、リアルの体験も一つのメディアと考えることができます。リアルの体験から吸収しましょう。
例えば小説で「お寿司屋さん体験記」というものがあったとして、これを読んで得られる情報と、実際に働いてみて得られる情報は量も質も違います。お寿司屋さん体験記の作者は、自分が面白いと思た部分を抜き出して文章に仕上げています。(これを2次情報といいます)読者は作者のフィルターを通してお寿司屋さんを追体験しているにすぎません。もし、自分が体験してみたら、お寿司屋さん体験記の作者とは違う発見があり、違う部分に面白さを感じるかもしれません。自分で体験することが最も情報量が多いのです。(これを一次情報といいます)
他の人が体験していないような体験を進んでしてみるのがおすすめです。自転車で旅してみるとか、セパタクローをやってみるとか、登山してみるとか、そういったことです。それがそのまま作品になれば最高ですが、そこで体験して感じたことは、題材が違っても生きてきます。
とはいえ、体験は時間や運、タイミング、お金も必要な場合もあるので、なかなか難しい場合はよく調べる、取材するのが良いでしょう。
また、今までの自分の体験を振り返って、使えるものはないか考えてみるのもよいかもしれません。学校生活、友達との体験、恋愛などは唯一無二の体験です。
個性的なキャラクター・絵柄・主人公
上記のような情報が頭の中にあれば、自ずと個性的なストーリー、キャラクターができてきます。よくキャラクターの履歴書を作るとか、作品に登場しない部分まで考えるとか、手段だけが議論されますが、本当はもっと根本的な部分の問題なのです。自分の中にキャラクターイメージがある状態で、モヤモヤしているものを具体化するために履歴書を作るのは良いことだと思いますが、そうでなければ表面的に履歴書を作っても意味がありません。自分の中に新しい情報をため込んで、それが発酵して現れてくるのをとらえるのです。
キャラづくりについては、こちらで別の角度から解説していますので、参考にしてみてください。
また、絵柄は描いて練習するしかありません。この場合も漫画を参考にしすぎず、リアルの情報を基にしてみましょう。例えば漫画のキャラの目を参考に目を描いてみても、どうしても似てきてしまいます。その場合はリアルに立ち返ってみましょう。キャラの目は人間の目をデフォルメしたものですから、人間の目を観察して描いてみる、それを自分でデフォルメしていくことで、自分だけの絵柄を得ることができるかもしれません。
外部の影響を脱して個性的に作る
自分の好きな作品にはどうしても影響されるものです。また、絵柄や話の流行もありますので、ある程度は合わせる必要があるかもしれません。そういった外部の要因にそもそも影響されることは大前提にして、影響を脱する、自分にしか描けないものを描くという意識をもって作品を作ることが大切です。