多すぎ注意!ストーリーには適正なキャラクターの数がある!
魅力的なキャラクターが印象的な作品は沢山あり、キャラクターの重要性は誰でもわかるところです。でも、意外と見落としがちなのがキャラクターの人数です。
まず大前提、読者は作者と違う
作品を作ろうとするくらいの人は、頭の中にたくさんのキャラクターが生きていて、世の中に出したいという気持ちが強いかもしれません。しかし、好きなだけキャラクターを出してしまうと読者は混乱します。作者にとってキャラクターは子どもや友達のようなもので、性格やしゃべり方、生い立ち、家族構成まですべて知っています。しかし、作品上に表現できるのは一部ですし、表現できたとしても100%伝わるわけではありません。まずは、読者は作者が思っている10分の1くらいしか理解できないと認識しましょう。
ページ数の制限がある場合、キャラクターが多いと、1キャラ当たりのページ数が少なくなり、それだけ内容を盛り込めなくなってしまいます。ページの制限がなくても、無意味にキャラクターの紹介をすることはできませんので、やはり消化不良になります。つまり、キャラクターは少ないほうがいいのです。
何人が適正なのか
キャラクターが多すぎると読者が感じるのは、一度に覚えきれないのもありますが、無駄だと感じてしまうからです。
無駄というのはストーリー上で役割が無いということです。キャラクターにはストーリー上の役割があります。詳しくはこちらに書いてあるのでご確認いただきたいのですが、主人公はストーリー上の問題を解決する役割があります。主人公が問題を解決するための助言を与えるキャラも必要です。男性向け作品ではヒロインも必要かもしれません。また、主人公と対立するライバルが必要な場合もあります。
このようにキャラクターには役割があり、そうでないキャラクターは不要なのです。
不要なキャラを確認する方法があります。一度ストーリーを作ったら、キャラクターを省いてみてください。それでもストーリーが成立する場合、そのキャラクターは不要です。また、ストーリー上で果たす役割が少なかったら、他のキャラにその役割を移せないかを考えます。移せるようだったらそのキャラクターは削除します。
例を見てみましょう。
主人公は勇者の血を引いているが臆病者で、ヒロインに恋心がある。
最近、村の近くに魔物が住み着いて、畑や家畜を荒らしている。いつ人間が襲われるかわからない状況。
村長の娘のヒロインは魔物を退治するために戦いに向かうことを決めた。
主人公の友達Aはヒロインを一人で行かせないで主人公も同行するように促す。しかし臆病な主人公はそれを断る、が悩む。
ヒロインは魔物に戦いを挑むが、負けそうになる。
そこに勇気を出した主人公が現れ、勇者の力が覚醒し、魔物を倒した。
この話は成立しているように見えますが、キャラクターを省略することも可能です。
省略できるのは「友達」です。友達の役目は主人公に変わるきっかけを与えることです。(きっかけについてわからなければ、はこちらを見てみてください)この役目は、ヒロインに移すことができます。ヒロインが、勇者の血を引く主人公に、同行を頼むようにすればよいのです。すると、友達のストーリー上の役割がなくなりますので、減らすことができます。
このようになります。
主人公は勇者の血を引いているが臆病者で、ヒロインに恋心がある。
最近、村の近くに魔物が住み着いて、畑や家畜を荒らしている。いつ人間が襲われるかわからない状況。
村長の娘のヒロインは魔物を退治するために戦いに向かうことを決めた。
ヒロインは出発前に、主人公に同行を頼む。しかし臆病な主人公はそれを断る。
ヒロインは悲しそうな顔をして、出発する。主人公は悩む。
ヒロインは魔物に戦いを挑むが、負けそうになる。
そこに勇気を出した主人公が現れ、勇者の力が覚醒し、魔物を倒した。
友達を減らした分、ヒロインと主人公にページを割き、濃い表現をすることができます。
適正な人数で濃いストーリーを!
以上のように、基本的にキャラクターは減らすべきで、物語上の役割がないキャラクターは削除すべきということになります。とはいえ目安が気になると思いますので、一応書いておきますと、「1話」に相当する量の中では、主人公、ヒロイン、助言役、ライバルの4人が適正なように思います。そのあとは、読者の消化を待ってキャラクターを増やしていきましょう。