主人公が困難を乗り越え成長するストーリーを面白くする方法
ストーリーには無限のパターンがあるように思えますが、実は登場人物の心の変化に注目すると、大きく2つのパターンに分けられます。
1つは主人公の考え方が変わる物語か、主人公以外のキャラの考え方が変わる物語です。どちらもキャラクターの考え方が変わるという意味では同じですが、だいぶ印象が違います。
前者は主人公が困難を乗り越えて成長していくようなストーリー。後者はヒーロー的な主人公が他の人を助けたり、変えたりしていくストーリーです。
今回は主人公が成長していく物語、「成長物語」の構造について解説していきたいと思います。
成長物語の基本
基本の構造は、最初主人公は間違った考え方をしている→正しい考え方に変わるという流れです。間違った、正しいというのはその物語の中の価値観です。
例えば、「漫画家になるなんて確率も低いし夢でしかない」から「夢に向かてとりあえず進んでみる」という風に変化します。
この辺について詳しくはこちらに詳しく書いておりますのでご参考に。
考え方が変化する際、あっさりと変化してしまうと、とてもつまらないストーリーになります。現実世界では「昨日はそう考えていたけど、一晩よく考えたら考えが変わった」ということはよくありますが、漫画ではNGです。なぜならつまらないからです。漫画にリアリティは必要ですが、リアルに描けばよいというものではありません!
ではどう変化させるかというと、困難を与えて苦しませるのです。
1、主人公を心理的に苦しませる
この時の困難は解決困難であればあるほど、面白さの度合いが増します。(ただ、困難が大きすぎると大げさにはなるので、作品によってバランスは必要です)
主人公を苦しませれば苦しませるほど、問題が解決したときに盛り上がるのです。
主人公を苦しませるには、主人公の考え方が変わらない理由を強いものにすることです。過去にトラウマがあるとか、誰かが強く禁止している、性格上変わりづらい、という感じです。
例えば、主人公が漫画家になりたいと思っているが、現実主義の強烈な父親が禁止している、という状態です。
この時に気を付けなければならないのは、本当にどうにもならない理由を設定してはいけないということです。本当に才能がなくて、絶対に漫画家にはなれないという設定にしてしまうと、気持ちが変わったからといって漫画家にはなれません。本人は苦しんでいるけど「気の持ちようで、何とかなる」という状態にするのがコツです。
2、事件を解決しづらくする
ストーリーには心理の変化が重要なのですが、もう一つ重要なのが「事件の解決」です。事件といっても「殺人事件」に限るわけではなく、現実の解決すべき問題と考えてください。(この辺についても詳しくはこちらで)
この事件を解決困難にすることもストーリーを面白くします。例えば、野球漫画ではライバル校が強ければ強いほど、それを倒したときの喜びは大きくなるでしょう。甲子園常連校で、プロ野球選手の息子が5人、メジャーリーガーの息子が3人います。しかも主人公が小学生の時チームメイトだった、こいつだけには勝てないと思った天才が所属しています。これに勝てたら非常に嬉しいですね。
バトル漫画で、主人公は修行をしなければ敵に勝てません。修行のメニュは、腕立て100回、上体起こし100回、スクワット100回、ランニング、これを毎日です。こんなにやったら禿げてしまうかもしれませんが、達成したときの喜びはすごいでしょう。
このように、主人公に困難な課題を与え、乗り越えさせるのです。
困難が面白いストーリーのカギ
主人公が困難に打ち勝って成長する姿に読者は心を打たれ、勇気をもらいます。このようなストーリーは、特に若い読者向けの漫画では王道です。ということで、「困難」を意識してストーリーを作ってみましょう。
さて、冒頭でストーリーは二つのパターンがあると書きましたが、もう一つのパターンがあります。それは、主人公以外の人の心が変わる、つまりヒーロー的な主人公が他の人を助けたり、変えたりしていくストーリーです。こちらは「成長物語」に対して「英雄物語」と呼びます。成長物語、英雄物語、そして、その複合タイプなど、ストーリーの構造についてもっと詳しく知りたい方はこちらを見てみてくださいね。