どんでん返しの意味と作り方-伏線回収との関係
「どんでん返し」とは何でしょうか?「あの映画のどんでん返しがすごい」とか、「あの漫画のどんでん返しにはやられた」といった風に使われる言葉です。
今回はこのどんでん返しの意味についてと、作り方について解説していきたいと思います。ストーリー作りの分野で、どんでん返しが自在に使えるようになると、読者をあっと驚かせることができるようになり、かなり作品に幅が広がってきますので、ぜひマスターしましょう。
この記事の目次
どんでん返しの意味
どんでん返しとは、もともとは歌舞伎の用語でした。歌舞伎の舞台で、背景と地面をL字型に作っておいて、ある瞬間、90度後ろにひっくり返します。すると、今まで地面の底側だった部分が起き上がって背景になるという、大仕掛けの場面転換のことを指していました。
ちょっと文章ではわかりにくいので、図も参考してくださいね。
その場面転換の時の鳴り物が「どんでんどんでん」という音だったためにどんでん返しという名前になったとか、仕掛け提灯の「強盗提灯(がんどうちょうちん)」に似ていることから「がんどう返し」になり、それがなまってどんでん返しになったとか、諸説あるようです。
ちなみにこの「強盗提灯」説を知ってから気になっていたのですが、資料がなく、曖昧なまま過ごしていたのですが、先日、復元模型を発見! 取っ手がついている「鐘」のような形をしており、中にはろうそくが水平を保つような仕掛けがついています。なんと涙ぐましい努力。まるでSega R-360のようです。(誰も知らないと思いますが)ただ、これがどんでん返しと似ているかというとちょっと?です。
とにかく。これが転じて、今ではストーリーに関して使わるようになりました。ストーリー上で、ある瞬間、今までの進行がガラッと変わり、予想外の結末を迎えることを指してどんでん返しといいます。まさに舞台がひっくり返る、というイメージです。
読者はある程度予想をしながらストーリーを読み進めていきますが、その予想が大幅に裏切られることによって、大きな衝撃を受けるのです。この「大幅に」というのがポイントです。ストーリーというものは、読者の予想通りに進んでは面白くないので、毎度毎度少しずつ読者の予想を裏切って進行してゆくものですが、どんでん返しの場合は、根本を揺るがすくらいに大幅に裏切ることによって成立します。
どんでん返しの効果
どんでん返しには中毒性があります。自分の予想が裏切られると「やられた!」という気持ちになります。作品において、読者と作者の関係は、ある意味、だます側とだまされる側という関係であるともいえます。作者はいかに読者を上手にだますか、だまして楽しませるかを問われ、読者はそれを楽しみつつも、もっと盛大にだましてほしいと思っています。その関係が露呈するのがどんでん返しです。
どんでん返しをされると、まさに「だまされた!」に似た気分になるものです。
また、どんでん返しは「どんでん返しのある作品」として、1つのジャンルを確立しています。どんでん返しの魅力のはまった人は、ファンタジーだとか、サスペンスだとかジャンルをまたがってどんでん返しを求めるようになります。作り手側からするとそれほどに強力な武器なのです。
どんでん返しの作り方と例
どんでん返しが予想を裏切ることだと書きましたが、「なんでもいいからとにかく裏切ればいい」というものではありません。
例をみてみましょう。
1、崖に向かって走っている車があります。このまま行けば、どう考えても落ちてしまいます。
この後の展開で、予想を裏切ってみましょう。
2、しかし崖から落ちる寸前に羽が生え、空を飛んでいきました。
いかがでしょうか。確かに意外だし、予想を裏切っていますが、なんだか滑稽に思えるのではないでしょうか。「えー、そんなのあり・・・・・?」と思いますよね。
この例からわかるように、何の前触れもなく予想を裏切るのはNGです。
実は、どんでん返しには「伏線」が必要です。
伏線とは、その時は理解できずに、あとから見たときに理解できる「前触れ」です。
伏線についてはこちらに詳しく書いていますので、参考にしてみてください。張る?回収する?伏線の意味を120%理解する解説
伏線には、前触れの役割とともに、「他の意味」を持たせておきます。すると、その時は他の意味の方に目が行って、伏線だと気づかないのです。
例を見てみましょう。伏線の古典であり、金字塔です。
1、西部劇。保安官が女の子から古いコインをプレゼントしてもらう
2、保安官が悪党と戦い、心臓に銃撃を受けてしまう。
3、しかし、生きており、悪党をしとめる。
4、なぜ生きていたかというと、コインが胸ポケットに入っており、銃弾を受け止めたから。
このパターンをどこかで見たことがある、という人は多いのではないでしょうか。古今東西、様々ストーリーに何度も登場しています。「赤い線と青い線のどちらかを切れば助かる」と同じくらいよく使われます。わかりやすく、使いやすい、驚きも大きい優れた伏線なのです。
最初にコインをもらうシーンでは、単にプレゼントをもらったという意味しか付与していません。これが「他の意味」です。女の子の好意を表現していると捉えられるのです。しかし、後になると、このシーンが心臓を守るコインの伏線だったのだとわかるのです。
伏線があったことがわかることを伏線の回収といいます。上記の例では、コインが銃弾を止めたことが分かったシーンが伏線の回収です。
伏線の回収は細かいものでも驚きを作り出しますが、これの最大級のものがどんでん返し、だと考えるとわかりやすいでしょう。
コインの伏線の話は「死んだと思ったのに生きていた」というどんでん返しの例としても覚えておくと良いでしょう。
どんでん返しがみごとな作品
どんでん返しは、時として世界観をひっくり返してしまいますので、短編で終わる映画や小説に多いように思います。連載の漫画でしたら、どこかの1話完結の話の中で使われます。今まで見てきた世界が実は違う世界だったとか、主人公は実は最初から死んでいたなどです。具体的にどんでん返しが登場する例を見てみましょう。世の中にはたくさんのどんでん返しがある作品が存在しますが、ディティールに凝りすぎていたりするものもあるので、長い間生き残り、定番になっている古典に例を求めたほうが良いでしょう。シンプルが一番強いのです。
猿の惑星
これはどんでん返しの超古典です。主人公は宇宙を旅していますが、ある惑星に不時着します。そこは猿が支配する世界で、人間は猿のように扱われる世界でした・・・・・・というところから始まり、主人公は徐々に猿の世界になじんでゆきます。そして、ラストに衝撃が待っています。後で見る人のために、何がどんでん返しなのか、控えますが
最近はchromeキャストを使っているので、グーグルプレイのほうが相性がいいんです。アマゾンプライムだと処理落ちしまくります。
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シックスセンス
これももはや古典といえる作品かもしれません。発表当時は大きな話題になりました。
主人公は精神科医で、ある日自宅に押し入ってきた患者に銃撃されてしまいます。患者はその場で自殺し、そのことで悩む主人公。そんな中、主人公は男の子と出会います。彼は死んだ人が見え、周りにも異常者扱いされて悩んでいました。心に傷を負ったもの通し、主人公と男の子が徐々に心を通わせて行きます。しかし、ラストにどんでん返しが。張り巡らされた伏線も見どころです。
※こちらもUーNEXで配信していたら簡単だったのですが、調べてみたら配信していませんでした。
オリエント急行の殺人事件
最近また映画化されましたね。こちらも古典中の古典。探偵小説の巨匠アガサ・クリスティーの大ヒット探偵小説です。アガサ・クスティを知らない方でも、名探偵コナンの阿笠博士なら知っているでしょう笑 ちなみにコナンの由来もシャーロック・ホームズの生みの親、コナン・ドイルという小説家です。
イスタンブール発のオリエント急行内で殺人字形が発生し、乗り合わせた名探偵が事件を解決してゆくという筋書き。ラストには、今までの常識を覆す真犯人が浮かび上がります。推理小説はどんでん返しがあるものも多いですが、当時は衝撃だったと思います。
まとめ
以上を押さえておけば、どんでん返しはもう大丈夫です。もう一度復習しておきますと、どんでん返しとは「伏線をきちんと張り、読者の予想を大きく裏切るようにな大幅な回収をする」ということです。ぜひストーリーに取り入れてみてください。しかし、思い立った時に簡単に映像作品が見えるなんていい時代になったものですね。